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割合について2

割合について2 割合の何がわからないのか?
 結論から言うとに「割合の定義」が理解されていないということだ。割合というのは比較する2つの量があり一方を1とするともう一方が1に対していくつになるのかという「2つの量の大小関係を倍で比べ表す」ことである。(日本語の漢字はとてもよくできていて「比較」の「比」が<倍で比べる>ことを意味し「較」が<差で較べる>ことを意味している。)
 それはともかくとして、この単純な原理「2つの量の大小関係を倍で比べ表す」がベーシックな体験的認識とならないままに、非常に早い時期から割合の問題を与えられて倍関係を見つけるような指導が展開されている。そのため「父の体重は80㎏、私の体重は56㎏である。私の体重は父の体重の何倍か?」という問題になると問題の意味が理解できない、したがってどういった算法で解決できるのかの見当もつかないという事態に陥る。
 授業の流れの中で「ああ、この問題は倍を求めている」「だから<比べる量÷基にする量=倍>の公式でいいはず」「でも、どっちが<基にする量>でどっち<比べる量>なのか、全然わからん」「問題文に出てくる順に<80÷56>でいいか!」と考えて解くようになってしまう。もちろん、間違いなわけであるが、割合の文章問題で最も多いのがこの例のような「何を何で割ればいいのかの見当がつかない」という問題である。
 学習者(子ども)がこういった状態に陥った時、教師や親は一生懸命に解きかたのテクニックを教え込もうとする例えば塾で流行っている「わ=ク/モ」という図式である。「わ=割合・く=比べる量・も=基にする量」らしいが比べる量がどっちで基にする量がどちらなのかのがわからないのではどうしようもない。また、「のがけ」という伝統的なテクニックもある。これは「倍」の前に○○のがつく量があればそれが基にする量であるというものだ。こちらのほうがまだ2つの量を見極める方策になると思われるが、使いこなせている教師をあまり知らない。いずれにせよこの2つの量の区別ができないのは「読解力」の問題「読解力の指導をしっかりしないといけない」という国語問題に転化していくことになる。しかし、これは決して国語の問題ではない。あくまでも算数の指導上の問題である。
 
 

 

by kiyotaka-ishi | 2018-01-05 12:11 | 算数教育