連載小説「割合少女 ミカ」3回目

問題1次の言葉を使って文を完成させなさい。

・天気は ・今日の  ・良い  ・わりあい

 (                   )

「ええ、なに?これ、算数と違うやん」

「そうや、これは国語の問題。できる」

「ミカ、国語は得意やで」

そういうとミカは問題に取り組むがすぐにクレーム、

「でもな、先生、<わりあい>ってあんまり使わんで」

「そうか、わりあいってあんまり言わんか?」

「そうやな、うちのばあちゃんが話しているのは聞いたことあるけど、うちら使わんで。」

「そうか、わりあいに変わる言葉ってある?」

「そうやな。<わりに>とか<わりと>言うてる。それになおしてもええかな?」

「ああ、ええで」

「よっしゃ!できた。」

今日の天気はわりと良い

「正解!」

「<わりに>と<わりあい>って同じだから、次はわりあいを使ってやってみて」

問題2

・テストは ・今日の  ・簡単だった  ・わりあい

 (                   )

「できた。<今日のテストは割合簡単だった>や」

「そういや、こんな時<わりあい>っていうてるわ」

「そうか、言うてるか!」

「そうしたら、今度はなんでもいいから<わりあい>を使って何か言ってみてくれる」

「そうやな、<今日の弁当はいつもの弁当と比べるとわりあいうまかった>とか」

「すばらしい。完璧」

とほめると、一瞬にミカの顔がほころび桜色に。

「やるやろ。ミカ国語は得意やから」

そのあと、割合を使っていくつか文を作ったところで次のように聞いた。

「ところで、<わりあい>の使い方やけれど何か決まりない?」

と聞くと、しばらく考えて、

「なんかとなんかをくらべるときに使ってない?」

「ピンポン。<今日の弁当いつもの時に比べると割合おいしいな>って言ったやろ。あれって比べてるよな」

「ああ、そうや、いつもの弁当と今日の弁当を比べている」

「つまり<わりあいって比べた結果○○だ>という意味で使っているんだ」

「へえ、そうやったんや。そんなん小学校の時、何にも教えてくれんかったで」

「そりゃそうだ。教科書にないことは教えないことになっているからね。」

「ふうん、そうなんや。まあ、先生ってそんなもやろ」

というとミカは窓の外に目をやった。外はちらほらと雪が舞い始めていた。

「あ、雪や」

ミカが小学生のように喜んだ、

「そういや今年は雪が多いよな。あ、そうだ昨日テレビで言っていたけれど香川県で1月に雪が降る平均日数は2日なんだって。ところが今年は1月に6日も降ったらしいで」

「そうなんや」

「ところで今年の雪の日数は去年の日数と比べるとどの程度多いといえる?」

「そんなん1年生でもできるで、4日多いやろ」

「もうほかに言い方ない?」

「何があるの?」

というので近くにあった積み木を使って次のように書いた。


# by kiyotaka-ishi | 2018-02-17 18:14 | 算数教育 | Comments(0)

連載小説「割合少女 ミカ」2回目

021回目(割合ってなんだ)

 次の日、ミカがおばあさんの車に乗ってやってきた。おばあさんにはすぐに帰ってもらって事務所にミカを招き入れた。ミカは厚手のピンクのフリース上下、その上から厚いダウンのジャケットをかぶりブクブクに着ぶくれていた。爪にはマニュキュアを塗り、目元はつけまつげを付けきつい色のアイシャドーを塗っていた。中1でここまでする子はそうはいないだろうと思われた。ソファーにミカを案内するとミカは挨拶もなくどかっと座るや否やポケットからスマホを取り出した。   

  「初めまして、石原といいます。よろしく」

 と挨拶するも、無言でスマホをいじり始めた。とりあえず、

  「どう、勉強する気ある?」

と聞くと、目を合わすこともなく、ただ一言

  「ない」

という。

 「そうか、それは困ったな。おばあさんに勉強教えてといわれたんだけどな」

「別に勉強しないでも生活できるし」

「そうか、勉強する気ないか」

  そんなわけで、話しかけるのをやめ、私は私の仕事をし、彼女は相変わらずスマホにかじりついていた。30分もたったころだろうか。

  「ああ、退屈。もう帰ろうかな!」

 と、ミカが言い出す。

  「でも、ばあちゃんが迎えに来るのは12時だからまだずいぶんあるぞ」

 「なら、コンビニに行ってくる」

 と、言い出した。しめた、これはチャンスかもと考え、

  「ああ、それなら先生にサンドウィッチを買ってきてくれないかな。」

「ええよ。どんなサンドウィッチ買うてきたらええの?」

「確か、300円のハムサンドが2割引になっているはずだから、いくら渡したらいいのかな?」

「ええ、先生のくせに計算できないの?」

やっとミカと目が合った。そこで、

「最近、頭の回転が悪くなって計算ができないのだけれどミカちゃんわかる?」

「わかるはずないやん。割引とか何%OFFとか大嫌い!なんであんなのあるのかわけわからんし」

「そうか、困ったな。でも、これまでも何割引とか何%OFF とかで買いよったやろ?どなんして買いよったんや?」

というと、まっすぐこっちを見て

「あほやな、300円より安くなるんやから300円もっとたら買えるやろ」

「ああ、なるほど、それで、おつりがもらえたらいいというわけか」

「そうや、やっと分かったんかいな」

「ごめん、ごめん。確かにそうや」

「でも、おつりがいくらになるかわかっていた方がいいのではない?」

「まあ、そらそうやけど、レジの機械が間違うはずないやん」

「レジのお姉さんが割引率間違ったらおつりがすくなくなったりせんかな」

「ああ、それ、あった。近所のスーパーのおばさんが間違っていたことあった」(田舎の個人商店スーパー)

「な、そうしたら、何割引きの値段が計算で出せるようになってたら便利と違うかな?勉強したら割引問題できるようになるで」

そういうと、ミカはしばし考え、

「ふうん。コンビニ行く間に考えとく」

と言って、コンビニに向かった。

  まあ、徹底的に自己中心、その上、相手が誰であろうとビビることなく自分の言いたいことだけを言う。そりゃ女子の間では嫌われるわなというタイプ。でも、さばさばして面白い子である。

「先生、買ってきたで」

  しばらくしてミカが頼んだハムサンドと自分用のポテトチップスを買って帰ってきたので飲み物を出してしばらく談笑する。意外にしっかりしたところもあるなという印象を受ける。

「ところで、さっきの話やけれど、割合の勉強する?」

「してもええけど、ややこしい計算はせえへんで、だいたい、<割合>ってなんなん?」

「そうやろ。割合って何なのかわからんやろ。先生もわからんでいろいろ考えたんや」

 「ええ、先生でもわからんの?」

  「そうなんや。そこで、考えた挙句にクイズを作ったんやけれど、やってくれる?」

  「クイズやったらええで」


# by kiyotaka-ishi | 2018-02-17 18:10 | 算数教育 | Comments(0)

連載小説「割合少女 ミカ」 第1回

割合をわかりやすく教える方法についていろいろ模索しています。

いずれ本にする予定で割合の教え方を私小説風物語にしてブログに連載することにしました。

毎日アップしますのでご意見ご感想頂ければ幸いです。


<ミカ、割合の勉強をする>

01)プロローグ

  私は小学校教員を退職後、廃校になった分校の一室を借り受け、算数の教具や教材を作る作業所兼事務所としていた。分校は廃校後も地域の子供たちが学校に通う通学バスの発着場所になっていたこともあり、自然に地域の子供たちの宿題と遊びの面倒を見る学童保育的な教室も開設するようになった。子どもたちはこの教室を石原教室と呼んでいた。

石原教室にミカがやってきたのはちょうど1年前の冬のことだった。なんでもミカは中1の秋ごろから学校に行くのを渋り始め、冬休み明けから全く学校に行かなくなったらしい。心配したミカのおばあさんが教室に来ている子のお母さんに相談したところ、「石原教室に相談したら?」ということであったらしい。ミカが来ることに関してはおばあさんと面談したが、おばあさんは心配で、心配でたまらないという面持ちで、「週1回でもいいので勉強を見てもらえませんか」という。ところが肝心のミカが来ていない。そこで、とりあえず、翌日一人で来させるようにと告げて面談は終わった。もし本人が来てやる気があるようなら面倒を見てもいいかなというくらいの軽い気持ちだった。


# by kiyotaka-ishi | 2018-02-17 18:06 | 算数教育 | Comments(0)

割合について3

 なぜ、比べる量と基にする量の判別ができないのか?
 その理由は、子どもたちが文章問題をしっかりと把握しないままに、適当に文章問題をやりこなしているという実態にある。子どもたちは文章問題を読みはするけれど吟味して読み、演算を決定する事はほとんどない。なぜなら演算決定はほとんどの場合「今学習している計算」に違いないからだ。たとえば割り算の計算を学習しているときに足し算の問題が出ることはない。従ってその問題は90%以上の確率で割り算で解く問題だのはずだから、文章の中から二つの数量を見つけ、大きい数を小さい数で割ることで解決できる。
 このような方法で4年生が終わるまでは対応しているものだから、5年生になって小さい数を大きい数で割る場面があることが理解できない。特に割合の問題では比べられる量と基にする量が見つけられたとしても比べられる量が基にする量より小さいとき得心がいかないのだ。「え、2÷6になる。おかしい」と感じてしまうのである。そこでせっかく正解の式にたどり着いているというのにわざわざ「6÷2」に書き換えてしまうのだ。

# by kiyotaka-ishi | 2018-01-09 09:44 | 算数の授業 | Comments(0)

割合について2

割合について2 割合の何がわからないのか?
 結論から言うとに「割合の定義」が理解されていないということだ。割合というのは比較する2つの量があり一方を1とするともう一方が1に対していくつになるのかという「2つの量の大小関係を倍で比べ表す」ことである。(日本語の漢字はとてもよくできていて「比較」の「比」が<倍で比べる>ことを意味し「較」が<差で較べる>ことを意味している。)
 それはともかくとして、この単純な原理「2つの量の大小関係を倍で比べ表す」がベーシックな体験的認識とならないままに、非常に早い時期から割合の問題を与えられて倍関係を見つけるような指導が展開されている。そのため「父の体重は80㎏、私の体重は56㎏である。私の体重は父の体重の何倍か?」という問題になると問題の意味が理解できない、したがってどういった算法で解決できるのかの見当もつかないという事態に陥る。
 授業の流れの中で「ああ、この問題は倍を求めている」「だから<比べる量÷基にする量=倍>の公式でいいはず」「でも、どっちが<基にする量>でどっち<比べる量>なのか、全然わからん」「問題文に出てくる順に<80÷56>でいいか!」と考えて解くようになってしまう。もちろん、間違いなわけであるが、割合の文章問題で最も多いのがこの例のような「何を何で割ればいいのかの見当がつかない」という問題である。
 学習者(子ども)がこういった状態に陥った時、教師や親は一生懸命に解きかたのテクニックを教え込もうとする例えば塾で流行っている「わ=ク/モ」という図式である。「わ=割合・く=比べる量・も=基にする量」らしいが比べる量がどっちで基にする量がどちらなのかのがわからないのではどうしようもない。また、「のがけ」という伝統的なテクニックもある。これは「倍」の前に○○のがつく量があればそれが基にする量であるというものだ。こちらのほうがまだ2つの量を見極める方策になると思われるが、使いこなせている教師をあまり知らない。いずれにせよこの2つの量の区別ができないのは「読解力」の問題「読解力の指導をしっかりしないといけない」という国語問題に転化していくことになる。しかし、これは決して国語の問題ではない。あくまでも算数の指導上の問題である。
 
 

 

# by kiyotaka-ishi | 2018-01-05 12:11 | 算数教育 | Comments(0)